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Last Update : 2004/02/29

このサイトに来てくださる大半の方がマニヤだと思いますので、
細かいことや初歩的なことは排除して、あくまでマニヤの皆さんのための解説にしてみます。
初心者の方はこちらをどうぞ。

■ユーロビートとは?

現在は「イタリア産のノリのいいダンスミュージック」ということになってます。
「ダンスミュージック」ですから、基本的には踊る目的での制作。
その踊りは日本では「パラパラ」と呼ばれ、世界的にも認められつつある存在です。
基本的には、avex(以下、@社)契約レーベルがSEBシリーズ等に提供する楽曲が「ユーロビート」。
提供先は@社にこだわらず、同様の楽曲であれば「ユーロビート」とみなすのが妥当でしょう。
(@社以外からリリースされるユーロビート楽曲は「ユーロビート」ではない、というのは筋違い。)
また、このサイトでは、ユーロビート楽曲を日本人がカバーしたものを「J-EURO」と呼び、
日本人が制作したユーロビート楽曲は「和製ユーロビート」と呼ぶことにしています。
(一般的には、こういう表現で妥当なのか、よくわかりませんが(笑。)

音の構成は、80年代のNEW-WAVE系の楽曲と同様、
リフ→Aメロ→Bメロ→サビ
と進む、日本人が好みそうなつくりで、非常にメリハリがあってわかりやすくなっています。
BPMが140〜160と高速なせいか、ドライブのBGMとしても使用されることも多く、
アニメ「頭文字D」などでは、クルマの走行場面と非常にマッチしたBGMとして使用されました。

■ユーロビートの歴史

こちら〕に、70年代以降のダンスミュージックからユーロビートに至るまでの流れをまとめてみました。
多少マニアックな部分もアリ、また、長文なので、お読みになる際は覚悟してください(笑。

■楽曲構成は?


とりあえず、このサイトでは各パーツをこのように呼んでいます。
・ イントロ(intro):曲のオープニング。楽曲によっては12秒〜60秒(4小節(16拍)〜20小節(80拍))。
・ リフ(riff):シンセで彩られるメロディライン。ユーロビートのメイン。基本は4小節。8小節もアリ。
・ Aメロ(verse):リフ直後のヴォーカルパート。最近は音を薄く作るのが流行っているっぽい。
・ Bメロ(bridge):Aメロとサビをつなぐパート。ユーロビートでは、1番と2番の歌詞が同じことが多い。
・ サビ(chorus):言いたいことをいうパート(笑。タイトル連呼型も多い。シャウトも多数。
・ Extended部分:ヴォーカルパートのインストだったり、音数を減らしたものであったり…。マニア向け。
・ アウトロ(outro):曲のエンディング。リフのリピートからFO(フェードアウト)型が一番多い。

このほか、メロが1つだけのものや、Cメロまであるものなど、さまざまな形があります。
まぁ基本形はこんな感じだと思ってください。

■レーベルとは?

レーベルとは、言うなれば制作集団の単位だと思ってください。
各レーベルはレコード出版社の傘下にあり、その中の1つのブランドみたいなものです。
たとえばVIBRATIONならば、Loredana Edizioni Musicaliという会社の中の、ユーロビート部門なわけです。

1991年以降のレーベルの動きを、表にしてまとめてみました。(クリックするとポップアップで大きくなります。)

注)表の見方
背景が灰色のレーベルは、廃止または停止レーベル
背景が黄色のレーベルは、新規または復活レーベル
灰色の文字のレーベルは、@社と契約がないレーベル
「*」印のレーベルは、SEB収録レーベル
レーベル枠内上段は、その年のメインプロデューサー
レーベル枠内下段は、その年のメイン作家
横に伸びる細い線は、メインとなる作家の移動
横に伸びる太い線は、レーベル設立に伴う作家の移動

またA-BEAT Cの設立年度や、SCPのレーベル名変更など、
事実と若干違う部分もありますが、大目にみてください(笑。

一番下は、個人的印象に基づくサウンドスタイルです。
必ずしも全ての楽曲がこうだというわけではないです。

■EUROBEATレーベル

イタリアで制作している各レーベルについて、解説してみます。
(日本における和製ユーロビートレーベルに関しては割愛。)
 

TIME RECORDS

TIME RECORDS

1984年設立で、現存するEUROBEATレーベルの中では最古の存在。
現在EUROBEATレーベルを立ち上げている制作者の多くが、このレーベルでの制作を経ており、まさに現在のEUROBEATの基礎となるレーベルである。
SEBに収録されはじめた頃は、独特の厚い音で好評だったが、近年はもっぱら軽い音作りに終始しており、人気が二分することもしばしば。
10年ほど前から有望な作家の流出が相次ぎ、細かいサウンドスタイルが徐々に変化はしているが、しかし、なんといっても歴史あるレーベル。
EUROBEAT本来の音作りという点では、職人Dall'Oraを中心に、まさに正統派路線を貫いている。

現在のプロデューサー:
Sergio Dall'Ora / (Giacomo Maiolini:肩書きのみ)
現在の主な制作者:
Sergio Dall'Ora / Luca Degani / Giordano Gambogi / Simone Valeo
現在の主なアーティスト:
DAVE SIMON / ROBERT PATTON / LOU TURNER / HELENA / SOPHIE
最近の楽曲の特徴:
音が軽い / 軽めで切れるROCK / ベタベタ哀愁 / 高速志向


A-BEAT C

A-BEAT C

かねてからALEPHとしてEUROBEAT界で活動してきたDAVE RODGERSと、Discomagic社でA&Rとして活動してきたAlberto Continiにより、1990年設立。
安室奈美恵やMAX、V6など、日本人が歌うEUROBEAT(以下、J-EURO)を数多く手がけたことで、もはや日本人にもおなじみの音使いとなっているせいか、EUROBEATの音というと、まずこのレーベルの音を思い出す人も多い。
@社から最大限の待遇を受けており、ヒットには事欠かない。
他ジャンルのアーティストとも積極的に交流を図り、近年では、DAVEのスタジオを利用するHM/HRバンドと仲良し。
彼らにギターで参加してもらったり、vo.を提供してもらっている。

現在のプロデューサー:
Dave Rodgers (Giancarlo Pasquini) / Sandro Oliva
現在の主な制作者:
Giancarlo Pasquini / Sandro Oliva / Fabrizio Rizzolo / Francesca Contini
現在の主なアーティスト:
DAVE RODGERS / NUAGE / SUSY WENDER / MATT LAND / VIRGINELLE
最近の楽曲の特徴:
バスドラが重い / ギターバリバリ / 柔らかなコミカル路線 / 低BPM志向


DELTA

DELTA

TIMEで活躍していたLaurent GelmettiとClara Moroni、そしてA-BEAT CでDave Rodgersとは別行動を仕掛けていたAndrea Leonardiの3人が、1995年夏にミラノの中華料理屋に集まり、立ち上げたレーベル。
設立当初は、TIME・A-BEAT Cのいいところを寄せ集めた最強レーベルと評されたが、徐々にオリジナルの音にたどり着き、今ではその独特な音に魅了されるファンも少なくない。
「NIGHT OF FIRE」の爆発的大ヒットにより、数々の賞を受賞するも、そのあと方針転換。最近では、「聴かせる」曲作りに重点をおき、昔ながらのEUROBEATを制作しているようにも見受けられる。

現在のプロデューサー:
Laurent Gelmetti Newfield / Andrea Leonardi(Bratt Sinclaire)
現在の主な制作者:
Laurent Gelmetti / Andrea Leonardi / Giordano Foglia / Roberto Gabrielli
現在の主なアーティスト:
NIKO / MAKO / DR.LOVE / CHERRY / VICKY VALE / DENISE / PIZZA GIRL
最近の楽曲の特徴:
高音シンセ / ROCKでないアグレッシヴ / 軽めの哀愁 / 低速高速両対応


Hi-NRG Attack

HI-NRG ATTACK

Claudio AccatinoとFederico Rimontiの2人が1987年に立ち上げたチーム「Live Music Studio」をその礎にする。
元々は、EUROBEAT界のゴッドファーザーMauro Farinaらのチーム「FCF」と行動を共にていたが、1992年に別行動。TIMEへの楽曲提供に切り替える。
1993年にDiscomagicから「Live Music」のレーベル名義で2作をリリースするも失敗。1994年に中堅出版社DIG IT社傘下に「Hi-NRG Attack」レーベルを設立し、@社との契約を得、その後は「Eurobeat Flash」シリーズを中心に収録されてゆく。
ゴリゴリのシンセ音と、圧倒的なドラムの叩きで好評を博し、熱狂的なファンも数知れず。第3次パラパラブームの時には、大ブレイクした。

現在のプロデューサー:
Claudio Accatino / Federico Rimonti
現在の制作者:
Claudio Accatino / Federico Rimonti / Roberto Festari / Andrea Girbaudo
現在の主なアーティスト:
FRANZ TORNADO / JOE D.TOASTER / BAZOOKA GIRL / DOLLY POP
最近の楽曲の特徴:
ゴリゴリシンセ / 重いアグレッシヴ / 重い突き抜けコミカル / 高速志向


VIBRATION

VIBRATION

TIMEで活躍していた今は亡きGino Cariaとその一派が、1995年の末に、中堅出版社であったLED傘下に立ち上げた新興EUROBEATレーベル。
初期は、その独特な爽やかな曲調で好評を博すが、その主たるサウンドメイカーだったStefano Castagnaらがトラブルにより1996年に離脱。
さらに追い討ちをかけるように、1997年春、レーベルの設立者であるGino Cariaが癌のため他界。
その後はCariaの弟子のAlberto FerrarisとDavide Di Marcantonioらにより、初期とは違った作風でマニア受けするものの、1998年に収録停止。
2000年に、メンバーだったDavide Di Marcantonioが、NRJ Mania傘下の「Energy Revolution」で制作を開始。
このレーベルでの成功をもとに、2001年、Davide Di Marcantonioを中心に、VIBRATIONが復活。EUROMACHシリーズに新作収録。しかしすぐ停止。
とまぁ数々の逆境を経て、現在はSEBに収録されているレーベル。
ヒットメイカーDavide Di Marcantonioとトップvo.のGianni Corainiを擁し、リリース数は少ないながらも、クオリティの高い楽曲を生み出すのが特徴である。
ナニゲに熱狂的なファンが多く存在する。

現在のプロデューサー:
Luigi Stanga / Davide Di Marcantonio
現在の制作者:
Luigi Stanga / Davide Di Marcantonio / Mario Rossi / Angela Alghisi
現在の主なアーティスト:
JIMMY BRAVO / MARIA VALENTINO / REGINA / DEE DEE / JACKIE O
最近の楽曲の特徴:
動きの多いシンセ / 高速突き抜けアグレッシヴ / 洗練哀愁 / 高速志向


SCP

SCP(Stefano Castagna Productions)

SEBに曲提供をしている中では、もっとも新しいレーベル。
1996年に諸般の事情によりVIBRATIONを離脱したStefano Castagnaと彼の奥さんEvelina Somenziを中心とし、彼らの長年の夢であった「完全にオリジナルの作品を作ること」を目的としている。
このレーベルの全ての楽曲が、@社に買い上げられていることからもわかるように、@社が彼らにかける期待は大きく、A-BEAT Cとともに、@社に好まれているレーベルでもある。
初期のVIBRATIONのような爽やかなサウンドから、生ギターを使用したアグレッシヴな曲、さらにはコミカル系まで、オールマイティな楽曲を生み出すのが特徴。各アーティストにコンセプトを定めながら楽曲を制作しているようにも伺える。

現在のプロデューサー:
Stefano Castagna
現在の制作者:
Stefano Castagna / Evelina Somenzi / Christian Codenotti
現在の主なアーティスト:
ACE / FASTWAY / DUSTY / KIKI & KIKA / CHRISTINE
最近の楽曲の特徴:
固いシンセ / ドラの重いアグレッシヴ / 雰囲気のあるコミカル / 高速低速両対応


BOOM BOOM BEAT

BOOM BOOM BEAT

80年代前半から、常にEUROBEAT界をリードしてきた、ゴッドファーザーMauro Farina。1994年に、それまでのASIA・FCFレーベルを一旦閉じて、1995年に再びEUROBEAT界に舞い戻ってきたときのレーベル名が「BOOM BOOM BEAT」。
それまで「Live Music」で活躍していた影武者Roberto Gabrielliをヘッドハンティングし、決してスマートとはいえないながらも、独特の音使いで一世を風靡した。
第3次ブームの際に、@社と交渉決裂。Victorの「Euro Panic」シリーズと契約し、同シリーズの牽引役になり「RAMBO」などが大ヒット。パラパラに強いレーベルとして印象付けてしまった。
Roberto Gabrielliが移籍した後は、Johnny Di Martinoが現役復帰するも、作風が変わってしまった感は否めない。
現在はVictorに代わりFARMからのリリースのみと、少々寂しい。

現在のプロデューサー:
Mauro Farina / The Factory Team
現在の制作者:
Mauro Farina / Fabio Serra / Giovanni Di Martino / Giuliano Crivellente
現在の主なアーティスト:
MARK FARINA / MISTER MAX / KEN MARTIN / SARAH / LAURIE
最近の楽曲の特徴:
固いドラ / ベースが重いダーク系 / 明るいPOPS系 / 高速志向